医療法人みつや会 新八街総合病院|地域医療の充実をめざして

New Yachimata General Hospital

側方侵入腰椎椎体間固定術(LLIF)

側方侵入腰椎椎体間固定術(LLIF)は、特徴としてまず横向き(側臥位)から手術を行います。その後多くの場合いうつ伏せ(伏臥位)となって椎体の固定(椎弓screw挿入)を行います。
側腹部と腰背部に小切開をおき、椎間に大きなケージと椎弓screwを挿入設置できるため、低侵襲で後方脊柱管の間接除圧効果と側弯矯正が可能であり、椎間板変性(椎間板症等)、変性側弯症、変性すべり症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアや隣接椎間障害といった様々な脊椎疾患の治療に適応されています。
使用する器具の会社や椎体に達する経路、及び術者の立ち位置などの多少の違いから、超外側経腸腰筋経路のeXtreme Lateral Interbody Fusion(XLIFⓇ)と腸腰筋前外側経路のOblique Lateral Interbody Fusion(OLIF)があります。
(LLIF=XLIFやDLIFとし、OLIFは別とする場合もあります。)

術式

まずはじめに仰臥位の状態で全身麻酔を導入します。その後、横向き(側臥位)へ体位変換し、上になった側腹部を約3~5㎝程度切開します。
下図のように後腹膜側から腸腰筋までアプローチし、開創する器具を挿入設置します。
椎体の側方に到達し、椎間板を専用の特殊な器具を使いながら切除し、ケージというスペーサーを挿入設置します。これにより、痛みやしびれの原因になっている椎間板の除去でき、またケージで椎間高を上げることで狭くなった椎間孔を上下に広げたり後方の黄色靱帯を引き延ばし、間接除圧効果をもたらすことができます。



脇腹の傷を縫合した後、腹臥位(うつ伏せ)となりレントゲン透視下にて経皮的椎体固定術(約1.5cmの傷口を数カ所開け、金属のボルト等で背骨を固定します)を行います。狭窄が高度で、圧迫が解除されない場合は、同時もしくは二期的に後方からアプローチして、 直接神経の圧迫を除去する手術を追加することがあります。

合併症

一過性に大腿部の筋力低下や感覚障害がでる可能性(ケージの挿入の際に膝や大腿を持ち上げる大腰筋からアプローチするため)
腎臓、尿管、大腸などの後腹膜腔臓器の損傷や、動静脈損傷の可能性
ケージの脱落(再手術)の可能性
脊髄や神経根の損傷による下肢麻痺、下肢知覚鈍麻、排尿排便障害が永続する可能性
硬膜(頚椎の中で脊髄を包んでいる袋状の組織)の損傷、及びこの硬膜の中に含まれている脳脊髄液が創部から体外への漏出、及びこれに引き続き生じる髄膜炎の可能性
切開した部分の血腫(けっしゅ)形成による神経麻痺・下肢痛出現の可能性
感染が起こる可能性
その他のまれな合併症として深部静脈血栓症や肺炎などの感染症等


※日整会疾患説明パンフレットなどから改変