医療法人みつや会 新八街総合病院|地域医療の充実をめざして

New Yachimata General Hospital

頚椎症性脊髄症

原因・病態

背骨をつなぎ、クッションの役目をしている椎間板は20 歳過ぎから変性(老化現象)が始まると言われています。
この変性が進むと椎間板にひびが入ったり、徐々に潰れてくるなどの変化をきたします。それに伴い骨が変形して出っ張り(骨棘)を生じます。椎間板が潰れて出てしまったり、骨棘が大きくなったり、背骨をつなぐ靱帯の厚みが増してきたりすると、神経の通り道(脊柱管)が狭くなり脊髄が圧迫されることで脊髄症を生ずることになります。
加齢以外に、椎間板が変性したり骨棘が育ってしまうような、過度の負担のかかる姿勢不良(前屈、スマホ操作、パソコン操作等)、繰り返しの重量物の挙上、運動などはこの変性を起こしやすくします。
神経根症を合併することも多いです。

症状

おもな症状は、手足のしびれや、細かい手の動きが不器用になる(巧遅運動障害;ボタンのはめ外しや箸の使用、字を書くことなど不器用になる)、歩行でバランスが悪く、脚がもつれるような感じになり階段で手すりを持つようになる、という症状です。
通常、症状はゆっくりと進行しますが、道で転倒するなどの比較的軽い外傷にもかかわらず、急激に四肢麻痺や膀胱直腸障害などの極めて重い症状が出現することもあります(頚髄損傷)。
この病気の進み方は患者さんにより様々です。軽い「しびれ」や鈍痛が大きな変化を認めずに長年経過する方がいる一方で、数ヶ月から数年の経過で手足の動きが強く障害される場合もあり、症状の進行が正確には予測できません。症状が進行してくると、例え手術をしてももとのように生活をするのはむずかしくなってしまいます。
早期に専門医に相談することが重要です。


診断

症状と四肢の反射の亢進などの診察所見があり、X線(レントゲン)所見で頚椎症性変化を認め、MRIで脊髄の圧迫を認めることで診断します。
必要があればさらに精密な診断(脊髄造影・CT・神経根造影・筋電図など)を行います。
中年以降ではX線での頚椎症性変化はほとんどの人に見られますし、MRIでの脊髄圧迫所見も症状がない場合でも見られますので、検査所見だけで診断することはできません。
神経内科の病気の一部は症状がよく似ている場合がありますので、注意が必要です。


治療

普段からよい姿勢を保ち、頚椎に対する負担をできるだけ減らすことが重要です。
治療としては、薬物療法(消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬など)、装具療法、牽引療法(間欠牽引、持続牽引)、温熱療法などがあります。
脊髄症が出現した場合や、画像検査にて既に脊髄に傷痕が確認できる場合などは、手術を行うこともあります。
手術では、狭くなった脊髄の通り道(脊柱管)を広げる脊柱管拡大術(椎弓形成術)や神経を圧迫している椎間板・骨棘を取り除く前方固定術などがあります。
症状や神経根症の合併有無等に応じて適切な方法が選択されます。


※日整会疾患説明パンフレットなどから改変