医療法人みつや会 新八街総合病院|地域医療の充実をめざして

New Yachimata General Hospital

脊椎椎体骨折(圧迫骨折)

原因・病態

比較的弱い外力によっても生じる骨粗鬆症によるもの(病的骨折の一種)や転移性骨腫瘍による病的椎体骨折、強い外力により生じる外傷性椎体骨折などがあります。圧迫骨折とよばれることもあります。
老人におこるものは胸椎と腰椎の移行部(胸腰椎移行部~下図矢印)あたりの椎体に生じ、ほとんどが骨粗鬆症に起因して尻もちなどの軽微な外力により生じるものです。
くしゃみをした際、自転車乗車をしていた際等に疼痛が生じ、検査の結果椎体骨折だったというような生活の中のちょっとした衝撃で罹患する方もいます。
一般に、椎体骨折は数ヶ月の経過で若干の骨の圧潰変形(圧力が加わり潰れたまま形が変形すること)を残したまま骨癒合して治癒します。
しかし、中には骨折した椎体の圧潰がどんどん進行し、骨折部が癒合しないまま、高度の後湾変形(腰曲がり)と長引く痛みを残す場合があります。
圧壊した椎体が後方へ突出し神経を圧迫するようになると、下肢のしびれや疼痛が出現したり、筋力低下や膀胱直腸障害(排尿・排便障害)を起こすこともあり、骨折してからしばらくしてそのような症状が現れる病態(遅発性圧潰)もあるため、注意が必要です。

症状

腰や背中に痛みが生じて腰や背中が曲がってきます(後湾)。痛みの特徴は、寝起きや立ち上がり動作時に痛みが悪化します。骨折部がくっつくと痛みは和らぎますが、高度の腰曲がりが残ってしまった場合には腰や背中の鈍い痛みや疲れが生じ、逆流性食道炎のような内臓の病気の原因になることがあります。発生原因によってやや症状が違います。
骨粗鬆症に起因して骨の弱くなっている(脆弱性が存在)とき生じるものでは、胸腰移行部に生じることが多く疼痛が軽度のこともあります。しかし、尻もちなどの明らかに外力が加わったものでは、通常は骨折のある部位の疼痛を伴います。いくつもの場所に多発性に椎体骨折が生じると背中が丸くなり(円背)、身長が低くなります。
腫瘍などの転移によるものは、骨折部の体動時の痛みのほかに安静時にも痛むのが普通です。 強い外力により生じた場合は、他の骨軟部損傷を伴うことも多く、脊髄損傷を生じる場合もあります。部位にもよりますが、胸腰移行部に生じた場合、重症では両下肢麻痺や膀胱直腸障害を生じるなど、さまざまな症状を呈します。

予防と治療

高齢者の場合、転倒やベッドからの落下が多いため注意する事と日常的に骨密度を測定し骨粗鬆症になっていないか確認します。骨量が低い場合場合食事療法(カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウムをとる)や背中や足の筋肉を鍛えて転倒しないようにする運動療法及び内服薬や注射(カルシトニン製剤)などによる治療を行います。
コルセットなどで外固定し、前屈姿勢(お辞儀する動作)は禁止し、安静にします。安静にすることで、3~4週ほどでほとんどが治ります。強い外力による圧迫骨折の場合、ギプスや装具などの外固定で早期に離床し歩行訓練するのが基本になります。圧迫骨折が高度であったり、骨折部の不安定性強かったり、脊柱管(脊髄部)がすれたり骨片で圧迫を受けていたりしている場合や、いつまでも疼痛が残るものには、手術が必要になることがあります。
手術加療には、椎体形成術(BKPやハイドロキシアパタイト充填等)、固定術などがあります。


※日整会疾患説明パンフレットなどから改変